股関節が痛くてこのページをご覧になっている皆さん。
実は股関節には見逃してはいけない 4つの運動器疾患があります。
もし、この運動器疾患の特徴を見逃して治療を続けたとしても満足のいく結果は得られな いかもしれません。
その4つとは
① 臼蓋形成不全
② 先天性股関節脱臼
③ 特発性大腿骨頭壊死
④ 変形性股関節症
です。 先天性のモノもあれば後天性のモノもあります。
もしかしたら、現在のあなたの股関節痛はこういった運動器疾患の影響かもしれません。 命にかかわるモノではありませんが、今後の長い人生で日常生活が不便になる可能性は十分にあります。
それでは、ひとつひとつの特徴を簡単に見ていきましょう。
① 臼蓋形成不全
・先天性の奇形
・大腿骨頭を嵌める寛骨臼の形成が不十分
・大腿骨頭の被覆率低い(関節がちゃんと嵌ってない)
・男性 0~2% 女性 2~7% の発生率
生まれつきの運動器疾患なので、多くのケースで問題なく日常生活を送れます。 ただし、筋力や筋出力などの運動感覚が衰えると股関節痛に繋がるケースも存在します。 手術が必要なケースも時にはありますので、定期的にレントゲン検査をおすすめいたします。
② 先天性股関節脱臼(正式名:発育性股関節形成不全)
・乳児検診で脱臼や開排制限(股の開きが悪い)
・歩行時に跛行が見られる
・成人後に股関節痛や変形性股関節症に移行しやすい
以前は、出生数の 2%を占める発生率でしたが、近年は 1/10 程度まで減少しています。 成人後に股関節痛や変形性股関節症に移行しやすい代表的な運動器疾患と言えるので、既往歴が無いかわからない場合は、ご両親やご家族に確認してみてください。
③ 特発性大腿骨頭壊死
・比較的急に発症する股関節痛と跛行
・構造的に阻血による壊死を起こしやすい
・阻血に至る経緯がはっきりしない ・年間約 2000 人程度の発症例
・アルコール多飲やステロイド剤服用で発症リスク増大
変形性股関節症と違い、急に痛みや歩けなくなるのが特徴です。病院でのレントゲン検査では判断できないので、MRI検査も必要になります。その場合は、担当医に相談してみてください。
④ 変形性股関節症
・立ち上がり、歩き始めに脚の付け根に違和感や痛みを感じる
・進行すると、常に痛く寝られない
・股関節疾患の約 80%が該当
・ほぼ女性に発症
・臼蓋形成不全や発育性股関節形成不全からの移行が非常に多い
比較的緩やかに症状が進行する退行性の運動器疾患です。初期から~中期は運動療法で対応可能ですが、日常生活の支障があまりにも大きくなってきた場合は手術療法が推奨されます。
いかがでしたか? 関節は一生に一個しかありません。 マッサージや電気治療を数カ月やって痛みが軽減されない場合は、関節に問題や異常があるかもしれません。その場合、適切な治療と生活習慣の改善が必要です。 ケースによっては人工関節置換術の適応となりますが、近年の人工関節は 10 年以上も持つ様なモノが主流です。 術前術後のリハビリをしっかり行えば、健康寿命が延びている現代でも支障なく旅行やスポーツをできます。 自分の股関節痛が、どの運動器疾患の影響なのか適切に判断して、薬/リハビリ/手術など適切な治療を受けましょう。
当院では、股関節周辺をしっかり検査を行い、症状次第では精密検査(MRIやCT)を受けていただくことをお願いする場合があります。また、手術後のリハビリも対応しております。些細な事でも、当院へご相談ください。
ご予約などのお問い合わせは、こちらから。
変形性股関節症や股関節痛については、こちらから。
参考文献
柔道整復学・理論編 改訂第 7 版 https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524233182/
柔道整復学・実技編(改訂第2版): 教科書/南江堂 (nankodo.co.jp)
コラム執筆・監修者
合同会社 Rerise
つくし鍼灸整骨院
代表取締役 東 智博
厚生労働大臣認定 柔道整復師 鍼灸師 専科教員
経歴:墨田区内整骨院勤務14年
2019年7月 つくし鍼灸整骨院を開院