はじめに|腰痛がなかなか良くならない理由
「湿布やマッサージをしても、また腰が痛くなる」
「病院で検査をしても“異常なし”と言われた」
このような腰痛で悩まれている方は、決して少なくありません。
実は、**腰痛の多くは“原因がひとつに決められないタイプ”**であることが、
世界保健機関(WHO)や日本の診療ガイドラインでも示されています。
この記事では、
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最新の正しい腰痛の考え方
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当院に来られている患者さんの実際の症例
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今日からできる、無理のない対処法
を、できるだけわかりやすくお伝えします。
腰痛の多くは「非特異的腰痛」です
WHO(世界保健機関)は、2023年に発表した腰痛のガイドラインで、
腰痛の多くは、骨折やがんなどの明確な病気では説明できない「非特異的腰痛」である
としています。
これは、「原因がない」「治らない」という意味ではありません。
✔ 姿勢
✔ 体の使い方
✔ 筋肉の硬さ
✔ ストレスや不安
✔ 生活習慣
こうした複数の要因が重なって起きている、という考え方です。
【症例①】長時間のデスクワークで腰痛が続いていた50代女性
● 来院時のお悩み
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50代・女性・会社員(介護職)
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午後になると腰が重く痛くなる
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レントゲンでは「年齢相応の変化」と説明された
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湿布痛み止めを飲んでも、特に変化なし
「腰の骨が悪いのでは」と強い不安を感じて過ごしていた。
● 当院で大切にしたこと
日本腰痛診療ガイドライン(2019)では、
画像に映る変化と痛みの強さは一致しないことが多いとされています。
そこで当院では、
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座り方などの姿勢
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1日の中で動く頻度
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お腹・お尻まわりの筋肉の使い方
を一緒に確認しました。
あわせて、
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30分~1時間に1回は立ち上がる
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体幹周辺の筋トレ
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太ももの裏を無理なく伸ばす
といった、WHOガイドラインでも推奨されている考え方を生活に取り入れていただきました。
● 経過の変化
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2〜3週間後
→「夕方の重だるさが前より楽」 -
1〜2か月後
→「仕事終わりも動きやすい日が増えた」
● 患者さんの声
「腰の骨に問題があると思っていたので安心しました。動き方を変えるだけでも違うんですね。」
※この症例は一例です。効果には個人差があります。
【症例②】「動くと悪くなるのが怖かった」60代男性
● 来院時のお悩み
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60代・男性
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腰痛が続き、散歩をやめてしまった
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「動くと痛いので悪化するのでは」という不安が強い
● 当院でお伝えしたこと
WHOの腰痛ガイドラインでは、
痛みがあっても、できる範囲で体を動かすこと
=回復のために重要
とされています。
そこで、
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痛み=壊れている、ではないこと
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動かせる範囲から、少しずつ動くことが大切であること
を丁寧に説明しました。
● 経過の変化
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1か月後
→ 短時間の散歩を再開 -
3か月後
→「動くことへの怖さが減った」
● 患者さんの声
「無理をしなければ動いていいと分かって、気持ちが楽になりました。」
※この症例は一例です。効果には個人差があります。
今日からできる、腰にやさしい3つの習慣
① 同じ姿勢を続けない
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座りっぱなし・立ちっぱなしなどの同一姿勢を避ける
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30分~1時間に1回、姿勢を変える
② 座り方を意識する
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椅子などに、坐骨を当てるようして座る
③ 無理のない運動を続ける
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散歩
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軽い体操
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ストレッチ
※WHO・日本腰痛診療ガイドラインでは、
安静にしすぎないことが共通して推奨されています。
すぐ医療機関を受診すべき腰痛
以下の場合は、早めの医療機関受診が必要です。
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発熱や急な体重減少を伴う
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夜も眠れないほどの強い痛み
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排尿・排便の異常
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足に力が入らない
これらは「レッドフラッグ」と呼ばれ、日本腰痛診療ガイドラインでも注意が促されています。
まとめ|腰痛は「理解」と「行動」で変わります
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腰痛の多くは、原因がひとつではありません
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正しい情報を知り、不安を減らすことも大切です
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無理のない動きと生活習慣の見直しが改善につながります
「この腰痛は一生治らないのでは…」
そう感じている方こそ、一度ご相談ください。
参考にしている公的情報
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世界保健機関(WHO)
WHO Guidelines on the management of chronic low back pain(2023) -
日本整形外科学会・日本腰痛学会
腰痛診療ガイドライン 2019
※本記事は、上記の公的ガイドラインに基づいて作成しています。
執筆者
東 智博
資格
厚生労働大臣認定 柔道整復師 鍼灸師 専科教員
東京都台東区「つくし鍼灸整骨院」院長
臨床歴15年以上/専門学校での講師経験あり







