ヒートショックとは
ヒートショックとは、急激な温度変化が身体に与える影響をいいます。特に高齢者や基礎疾患を持つ人に多く、血圧の急激な変化によって心筋梗塞、脳卒中、失神、さらに最悪の場合、死亡に至る場合もあります。日本では冬場の入浴中や浴室から脱衣所への移動時に起きることが多く、毎年多くの人が影響を受けています。
ヒートショックっていつからあるの?
ヒートショックは日本で特に問題視されるようになった現象です。
冬場における浴室での事故が注目されたのは、昭和中期(1950年代以降)に住宅の構造が変化し始めた頃です。当時の木造住宅では暖房が普及しておらず、浴室と居住空間の温度差が大きいことが原因でした。これが背景となり、1980年代以降、研究が進み「ヒートショック」という概念が確立されました。
現在では、ヒートショックによる死亡数は交通事故の死亡者数を上回ると言われるほどの社会問題にもなっています。
ヒートショックが起こりやすい人の特徴
- 高齢者
年齢とともに血圧調整機能が低下し、急な温度変化に対応しにくくなります。 - 高血圧や低血圧を持つ人
血圧の不安定さが症状を悪化させる原因となります。 - 心疾患や脳血管疾患がある人
既往症がある場合、温度変化による負荷が心臓や血管に大きく影響します。 - 飲酒後の入浴
飲酒は血管を拡張させるため、体温調節がさらに困難になります。 - 冷え性の人
末端の血流が悪いと体温調節機能が低下します。
ヒートショックが起こりやすい環境
- 寒冷地
住宅内の暖房が不十分で、部屋間の温度差が大きい。 - 断熱性能が低い住宅
浴室や脱衣所の断熱性能が低いと、急激な体温変化が起こりやすくなります。 - 高湿度な環境
湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温調節がさらに難しくなります。
ヒートショックにならない為には
- 住宅環境の改善
- 浴室や脱衣所を暖房で温める。
- 二重窓や断熱材を使用して住宅内の温度差を減少させる。
- 入浴時の工夫
- お湯の温度は40度以下に設定する。
- 入浴前にかけ湯をして身体を温める。
- 長時間の入浴を避け、短時間で済ませる。
- 服装や準備
- 冬場は脱衣所で防寒着を使用する。
- 靴下やバスローブを準備して温かい状態を保つ。
- 生活習慣の見直し
- 適度な運動で血流を良くする。
- 高血圧や心疾患の治療を継続する。
- 飲酒後の入浴をしないようにする。
まとめ
ヒートショックを起こさない為には、脱衣所と浴室の温度差を減らすことも大切ですが、血圧をなるべく正常に保つことや体温の調整をできる身体を作っておくこともとても大切になります。その為には、日頃採っている栄養や運動が重要になります。日常生活を見直すことで、健康寿命を1日でも伸ばす一番の近道となりますので、少しずつやってみる事をお勧めいたします。
参考文献
- 厚生労働省:「ヒートショックに関する注意喚起」
https://www.mhlw.go.jp/ - 日本入浴協会:「入浴中の事故防止について」
https://www.ofuro.or.jp/ - 住まいの健康を守る断熱研究会:「ヒートショックを防ぐための住宅改善」
https://www.dannetsu.com/ - 医学書:「高齢者の健康と温度管理」出版社:医学書院
コラム執筆・監修者
合同会社 Rerise
つくし鍼灸整骨院
代表取締役 東 智博
・厚生労働大臣認定資格
柔道整復師 鍼灸師 専科教員
・経歴
墨田区内整骨院勤務14年
2019年7月 台東区北上野につくし鍼灸整骨院を開院