体の糖化とは?
体の糖化とは、糖(グルコース)と体内のタンパク質が結びつくことで、AGEs(Advanced Glycation End Products:最終糖化産物)と呼ばれる物質が生成されることを言います。この過程は「メイラード反応」とも呼ばれ、料理の際に食材が焼けるときに生じる焦げなどにも似た現象です。体内でも同様に、糖が過剰に存在することでタンパク質と結びつき、タンパク質の正常な働きを阻害する形でAGEsが蓄積されていきます。これが体の機能や健康に悪影響を与える原因となります。
糖化のメカニズム
糖化は、糖がタンパク質や脂質と結びつくことで起こる非酵素的な反応です。この反応自体は自然に起こるものですが、過剰な糖が血液中に長時間存在することで進行が早まります。糖尿病の患者や血糖値が高い人は特に糖化が進みやすくなります。糖化反応の初期段階では、糖とタンパク質が結合し、シフ塩基やアマドリ化合物と呼ばれる中間体が形成されます。これらがさらに酸化や脱水を経て、最終的にAGEsへと変化します。AGEsが体内で蓄積すると、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
糖化が原因で起こる影響
- 老化の加速
AGEsが肌のコラーゲンに結びつくことで、肌の弾力を失い、シワやたるみが発生します。これにより、老化現象が進みます。AGEsはまた、内臓や血管のタンパク質にも影響を与え、内臓の老化を加速させると考えられています。
- 血管へのダメージ
AGEsは血管内のタンパク質とも結合し、血管を硬くする原因となります。これを「動脈硬化」と呼び、心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管系疾患のリスクを高めてしまいます
- 糖尿病の合併症
糖化は糖尿病の合併症とも密接に関連しています。高血糖状態が長期間続くと、AGEsの生成が増加し、腎臓や網膜、神経系にダメージを与える糖尿病性の合併症が引き起こされます。
- 認知症のリスク増加
最近の研究では、AGEsが脳内にも蓄積し、アルツハイマー病のリスクを増加させる可能性が指摘されてきています。脳の神経細胞に対する炎症反応や酸化ストレスが増加し、認知機能の低下を招くと考えられています。
糖化を防ぐための生活習慣
糖化を防ぐためには、まず血糖値の管理がとても大切です。以下は、糖化を抑制するための主な方法です。
・血糖値のコントロール
食後血糖値の急上昇を避けることが糖化を防ぐ鍵となります。バランスの取れた食事を心がけ、低GI食品(血糖値を緩やかに上昇させる食品)を選ぶことがおすすめです。特に食物繊維が豊富な食品や、野菜を先に食べる「食べる順番」に気を配ることが効果的です。
・抗酸化物質の摂取
AGEsの生成は酸化ストレスと密接に関わっています。抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、ポリフェノールを含む食品を積極的に摂取することで、AGEsの生成を抑えることが期待できます。緑茶、ブルーベリー、ナッツ類などが効果的な抗酸化食品です。
・加熱調理の見直し
高温での調理(揚げ物、焼き物など)は食品中にAGEsを生成するため、調理法にも注意が必要です。できるだけ低温での調理や蒸し料理を心がけ、AGEsの摂取を減らすようにしましょう。
・適度な運動
運動はインスリン感受性を向上させ、血糖値を安定させるため、糖化を防ぐ効果があります。特に筋力トレーニングや有酸素運動が推奨されます。
糖化と美容・健康の関係
美容面においても、糖化は重要な要素です。AGEsが肌に蓄積すると、肌の透明感やハリが失われ、老化が加速してしまいます。糖化は「肌の黄ばみ」や「くすみ」を引き起こす原因の一つとも言われており、美容に関心のある方にとっても見逃せない問題です。
また、AGEsは関節や筋肉にも影響を及ぼします。タンパク質が糖化されることで、関節の柔軟性が失われ、関節痛や可動域の制限が生じることがあります。このような影響は、加齢に伴う運動能力の低下を促進するため、健康寿命を延ばすためにも糖化の抑制が重要です。
糖化と筋肉の関係:パフォーマンス低下と老化への影響
糖化(グリケーション)は、糖とタンパク質が結合する反応で、AGEsが体内に蓄積されることで、老化や慢性疾患(腰痛や坐骨神経痛・高血圧や糖尿病など)を引き起こすと言われています。筋肉組織も例外ではなく、糖化は筋力低下や回復力の減少に関わる重要な要素とされています。少しずつ気をつけることが生活習慣が変わり、腰痛や坐骨神経痛などにならなくて済みます。
糖化による筋肉への悪影響
(1) 筋肉タンパク質の劣化
筋肉を構成する主要なタンパク質である コラーゲン や アクチン も糖化の影響を受けます。タンパク質の柔軟性が低下し、機能が損なわれることで筋肉の質が悪化します。特に筋肉が硬くなり、筋力の低下や動きが制限されることがあります。
(2) 筋力の低下と疲労感の増加
AGEsが筋肉に蓄積すると、筋肉が硬くなり、筋力の低下を招きます。これにより、活動量が低下し、日常生活でも疲れやすくなります。また、運動後の回復力にも影響を及ぼし、筋肉の修復が遅れることでパフォーマンスが低下する原因にもなります。
(3) 筋肉の損傷と再生の遅延
筋肉修復には、タンパク質の合成が不可欠ですが、糖化によりタンパク質の質が低下すると、筋肉の再生能力が落ちます。運動後の疲労回復が遅れ、長期的な筋肉量の減少(サルコペニア)のリスクが高まります。
サルコペニアとの関係
サルコペニアは、加齢に伴う筋肉量と筋力の減少を指します。糖化はサルコペニアの進行を加速する一因とされ、特に以下のようなメカニズムが関連しています。
- インスリン感受性の低下: 筋肉細胞の糖取り込みが低下し、エネルギー不足に陥ります。
- 慢性炎症: 糖化によって体内の炎症が慢性化し、筋肉細胞の再生能力が低下します。
- 血管機能の低下: AGEsが血管の柔軟性を失わせるため、筋肉への酸素や栄養素の供給が不十分になります。
まとめ
糖化は、筋肉の質の低下やサルコペニアの進行を加速させる要因となり、運動パフォーマンスの低下や日常生活への支障を引き起こす可能性があります。糖化を抑えるためには、血糖値の管理と運動、抗酸化物質の摂取が効果的です。また、良質なタンパク質を積極的に取り入れ、筋肉の再生を促進することも重要です。日々の生活でこれらの対策を取り入れることで、筋肉の健康を保ちながら、健康寿命を一日でも長くし、楽しい生活を送れるようにしましょう。当院では、慢性の腰痛や坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症や変形性膝関節症や股関節の痛みでのお悩みを根本的な改善を目指している治療院となります。しかし、体は『食べ物の履歴書』と言われ、日頃から食べている物でできています。つくし鍼灸整骨院では、食事を変える事も大切な治療の一つだと考えてお伝えしています。もし、食事や栄養の事でわからない事があれば、いつでもご相談ください。
ご相談はこちらから
参考文献
- 国立健康・栄養研究所 (2020). 「AGEsの健康への影響とその対策」, 国立健康・栄養研究所ウェブサイト
- 国立健康・栄養研究所のウェブサイトでは、糖化についての科学的な解説と、その対策に関する最新の研究成果が公開されています。公式サイトで確認できます。
-
森田英利 (2020). 『AGEsと老化:糖化のメカニズムと健康への影響』, 医学書院
- この書籍は、糖化のメカニズムやAGEsが老化や健康に与える影響を専門的に解説しています。
- Stirban A, Gawlowski T, and Roden M (2014). “Vascular Effects of Advanced Glycation Endproducts: Clinical Effects and Molecular Mechanisms.” Molecular Metabolism, 3(2): 94-108.
- AGEsが血管に与える影響について詳しく解説した論文。糖尿病や血管疾患に関連する分野での最新の研究です。
- Brownlee M (2001). “Biochemistry and Molecular Cell Biology of Diabetic Complications.” Nature, 414(6865): 813-820.
- 糖化と糖尿病の合併症に関する基礎研究。この論文は、糖尿病の進行とAGEsの関係を深く探求しています。
- Henning C, and Glomb MA (2016). “Pathways of Protein Modification by Glycation and Glycoxidation and Their Relevance to Diabetes-Related Complications.” Chemical Research in Toxicology, 29(12): 2069-2081.
- 糖化と酸化ストレスの関係、および糖尿病合併症におけるAGEsの役割についての論文。
これらの文献は、糖化の基本的なメカニズムから、健康や美容への影響、具体的な予防策に至るまで幅広くカバーしています。
コラム執筆・監修者
合同会社 Rerise
つくし鍼灸整骨院
代表取締役 東 智博
・厚生労働大臣認定資格
柔道整復師 鍼灸師 専科教員
・経歴
墨田区内整骨院勤務14年
2019年7月 台東区北上野につくし鍼灸整骨院を開院